Azure Firewallの起動停止方法(課金をとめる)
Azure PowerShellを利用したAzure Firewallの起動および停止方法です。
Azure Firewallはリソースを停止することで課金を停止できますが、Azure Portalでは停止操作ができません。
そのため、Azure PowerShellを使用して操作する必要があります。
今回は、Azure PowerShellを使用したAzure Firewallの起動・停止手順を確認しています。
Azure Firewallの情報を取得するためのAzure PowerShellおよびAzure CLIのコマンドも一覧表形式で紹介しています。
※記事執筆時点では、Azure CLIによるAzure Firewallの停止操作には対応していません。
Azure Firewallは停止すると課金も止まる
価格
Azure Firewallは、デプロイされている時間に応じて課金が発生します。
東日本リージョンの場合、Standardで$1.25/時間、Premiumの場合は$1.75/時間の課金が発生します。
検証環境などで夜間に使用しない場合でも、デプロイしたままにしておくと課金が継続されます。
1時間未満は1時間に切り上げられる
1時間に満たない利用時間でも、1時間分として課金されます。
短時間でデプロイを繰り返すと、その回数分だけ課金額が増加します。
例えば、1時間の間に3回デプロイした場合、3時間分の課金となります。
停止させると課金も止まる
Azure Firewallが停止状態(割り当て解除)の場合は課金が発生しません。
Azure Firewall の停止と起動の方法を教えてください
※パブリックIPの課金は、Azure Firewallのリソースの停止状態とは関連しません。パブリックIPリソースが存在する限り、課金は継続されます。
Azure Firewallの起動停止はAzure PowerShellのみ
Azure Firewallの起動および停止操作は、Azure PowerShellのみで実施できます。
Azure Portalではこれらの操作は提供されていません。
Azure CLIによるAzure Firewallの停止もサポートされていません。
※記事執筆(2023年9月末)時点の情報です
起動時にはパブリックIPの再割り当てが必要
Azure Firewallを停止すると、パブリックIPの割り当てが解除されます。
起動時にはパブリックIPの再割り当てが必要となります。
※仮想ネットワークの割り当ても解除されます。
Azure Firewallのリストやリソース情報を取得に使うAzure CLIとAzure PowerShellのコマンド
リストやリソース情報を取得
Azure Firewallのリスト表示やリソース情報の取得に使用するAzure CLIおよびAzure PowerShellのコマンド一覧表です。
実施内容 | Azure CLI | Azure PowerShell |
リソースのリストを取得 | az network firewall list –output table |
Get-AzFirewall | ft Name,Location,ResourceGroupName,ProvisioningState,ThreatIntelMode |
リソースのリストを取得 (リソースグループ指定) |
az network firewall list list –resource-group “リソースグループ名" –output table | |
リソース情報を取得 |
サブスクリプション内すべて リソースグループ内すべて 個別のリソース |
サブスクリプション内すべて リソースグループ内すべて 個別のリソース |
※Azure PowerShellの表示内容は、Azure CLIの出力結果と同じ項目になるように指定しています。
※Azure CLIの–resource-groupは-g、–nameは-nと省略して記述できます。
※Azure CLIで詳細情報を取得する際も、–output tableを付与することでリソース名やステータスを表形式で表示できます。
Azureテナントへのサインイン方法については、こちらで紹介しています。
リソースのリストを取得
Azure CLIおよびAzure PowerShellを使用して、Azure Firewallのリソース一覧を取得した例です。
※リソースの詳細情報の取得については、停止および起動の操作例の方で確認しています。
Azure Firewallのリストを取得 | |
Azure CLIを利用した場合
|
|
Azure PowerShellを利用した場合
|
※表示項目がAzure CLIの場合と同じになるように、Azure PowerShellのコマンドを設定しています。
az network firewall初回実行時の注意点
Azure CLIのaz network firewallコマンドを初めて実行する際は、拡張機能のインストールが求められます。
インストールの確認が表示されたら、Yを選択してインストールしてください。
PS C:> az network firewall list –output table The command requires the extension azure-firewall. Do you want to install it now? The command will continue to run after the extension is installed. (Y/n): Y |
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Azure PowerShellを使用したAzure Firewallを起動および停止方法
検証で利用したAzure Firewall リソースの設定
検証に使用したAzure Firewallリソースの設定内容です。
区分 | 項目 | 設定値 |
ファイアウォール | リソースグループ名 | rg-fw-test-01 |
ファイアウォール名 | fw-test-01 | |
SKU | Standard | |
仮想ネットワーク | リソースグループ名 | rg-fw-test-01 |
仮想ネットワーク名 | vnet-fw-test-01 | |
パブリックIP | リソースグループ名 | rg-fw-test-01 |
パブリックIP名 | pip-fw-fw-test-01 | |
パブリックIP名(管理パブリック IP) |
pip-fwm-fw-test-01
|
Get-AzFirewallとSet-AzFirewallを使用したAzure Firewallリソースの停止および起動
Azure PowerShellを使用してAzure Firewallの停止と起動を行います。
FAQに起動と停止の方法について記載されています。
Stop-AzFirewallやStart-AzFirewallといったコマンドレットは存在しません。
Get-AzFirewallとSet-AzFirewallを使って、パブリックIPアドレスや仮想ネットワークの割り当て解除(停止時)、割り当て(起動時)を行います。
停止方法はすべての構成で共通ですが、起動方法は構成によって3パターンあります。
-
- 強制トンネリング用に構成されていないファイアウォール
- 強制トンネリング用に構成されているファイアウォール
- セキュリティで保護された仮想ハブ アーキテクチャのファイアウォール
azfw.Allocateで指定する内容(割り当て方法)が異なります。
※今回は、セキュリティで保護された仮想ハブ アーキテクチャのファイアウォールについては実施していません。
Azure Firewallの停止から起動まで | |
停止
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起動
|
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起動(強制トンネリング構成)
|
起動停止時のリソース状態を確認
起動および停止時のリソース状態について確認します。
Azure Firewallのリソース状態は、Get-AzFirewallコマンドで取得しています。
ProvisioningState(プロビジョニング状態)という項目は存在しますが、起動・停止状態を直接示す項目はありません。
IpConfigurationsTextの値の有無によって、起動・停止状態を確認できます。
-
- 停止状態
- IpConfigurationsText:値が存在しない
- ManagementIpConfigurationText:値が存在しない
- 起動状態(強制トンネリング用に構成されていないファイアウォール)
- IpConfigurationsText:値が存在する
- ManagementIpConfigurationText:値が存在しない
- 起動状態(強制トンネリング用に構成されているファイアウォール)
- IpConfigurationsText:値が存在する
- ManagementIpConfigurationText:値が存在する
- 停止状態
※リソース停止後には、課金が発生しているかどうかを課金情報で確認します。
Get-AzFirewall実行結果 |
停止状態 |
起動状態(強制トンネリング用に構成されていないファイアウォール) |
起動状態(強制トンネリング用に構成されているファイアウォール) |
Azure Portalでリソースの起動停止状態を確認
Azure Portalでも、起動・停止状態を直接示す項目はありません。
パブリックIPアドレスや仮想ネットワークの表示状態によって、間接的に確認することができます。
状態 | コマンド実行内容 |
停止状態 | ![]() |
起動状態 | ![]() |
起動状態 (強制トンネリング構成) |
![]() |
※リソース停止後には、課金が発生しているかどうかを課金情報で確認します。
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最後に
Azure Firewallのリストやリソース情報取得から、起動・停止までの方法を確認しました。
リソースの起動や停止には数分程度かかる場合がありますが、停止することで課金が停止されるのは大きなメリットです。
検証環境などでコスト削減に活用することができます。
引き続き、いろいろ試してみたいと思います。
Azure Application Gateway(アプリケーションゲートウェイ)の起動停止方法については、こちらで紹介しています。