Azure Managed Disksの種類の整理とパフォーマンスレベルを変更してIOPS測定
マネージドディスク(Azure Managed Disks)の種類、性能に関する情報、SLA、価格に関する情報を簡単にまとめてみました。
また、Premium SSDのマネージドディスクでパフォーマンスレベルを変更し、DiskSpdを用いて性能(IOPS)測定をしています。
※本記事では、Azure Virtual Machines(Azure VM)を仮想マシンと表記しています。
※本記事では、Azure Managed Disksをマネージドディスクとして表記しています。
※IOPSの測定にはDiskSpdを使用しています。
マネージドディスク(Azure Managed Disks)について
マネージドディスクの種類は4種類
仮想マシンで利用できるマネージドディスクは、4種類あります。
パフォーマンス順にUltra Disk、Premium SSD、Standard SSD、Standard HDDの4種類があります。
性能だけでなく、SLA(Service Level Agreement)も異なります。
単に性能だけでなく、SLAなどの要件に応じて適切なマネージドディスク種類を選定することが重要になります。
Service Level Agreements (SLA) for Online Services
Premium SSDおよびStandard SSDでは、一時的にマネージドディスクの性能を引き上げて(バーストさせて)利用することが可能です。
Ultra diskはデータディスクのみで使用可能です。
サイズ、IOPS、スループット値それぞれを個別に指定する必要があります。
種類 | 主な利用用途 | SLA | IOPS(256GBの場合) | バースト有無 |
Ultra Disk | 高性能のデータベース等でディスク性能を求めたい場合に利用 |
99.9% 以上 |
76,800(2,000MB/秒)(上限値) | ×(バーストではなく上限値を指定する) |
Premium SSD | 商用環境などで可用性や性能が要求されるようなVMに利用 | 99.9% 以上 | 1,100(125 MB/秒) | 〇バースト時(IOPS3500、スループット170 MB/秒) |
Standard SSD | 可用性が求められない仮想マシン(開発や検証用)で利用する場合 |
99.5% 以上 |
最大 500(最大 60 MB/秒) | 〇バースト時(IOPS600、スループット150 MB/秒) |
Standard HDD | データ保管などで価格を安く抑えたい場合 |
95% 以上 |
最大 500(最大 60 MB/秒) | ー |
マネージドディスクのサイズによる性能の違いやパフォーマンスレベルの変更可否
マネージドディスクのサイズによって、マネージドディスクの性能は異なります。
Ultra DiskやPremium SSDは、マネージドディスクのサイズを大きくするほど、性能も向上します。
Ultra Diskでは、サイズ、IOPS、スループットの各値を個別に指定できます。
サイズを大きくすることで設定可能なIOPSやスループットの上限値も上がります
種類 | サイズによる性能の違い | サイズ変更 | パフォーマンスレベルの変更 | アップグレード(マネージドディスクサイズ、パフォーマンスレベル) |
Ultra Disk | 〇 | 〇 | 〇 | IOPS(上限値)、スループット値(上限値)が向上 |
Premium SSD | 〇 | 〇 | 〇 | IOPS、スループット値が向上 |
Standard SSD | 〇(8 TiB以上) | 〇 | × | 8 TiB以上のサイズでIOPS、スループット値が向上 |
Standard HDD | 〇(8 TiB以上) | 〇 | × | 8 TiB以上のサイズでIOPS、スループット値が向上 |
※Standard SSDやStandard HDDは、8 TiBまではマネージドディスクサイズによる性能の違いはありません。8 TiBを超えるサイズを選択すると、IOPSやスループットの上限が向上します。
マネージドディスクの種類によって価格も違う
マネージドディスクには、Ultra Disk、Premium SSD、Standard SSD、Standard HDDの4種類がありますが、パフォーマンスレベルが高くなるほど価格も高くなります。
マネージドディスクの種類 | IOPS(256GBの場合) | 価格(東日本リージョン)(月額) | トランザクションによる課金 |
Ultra Disk | 76,800(2,000MB/秒)(上限値) | ¥33,928.60(IOPS値:2200 スループット値:250MB/秒の場合) | 無し |
Premium SSD | 1,100(125 MB/秒) | ¥4,896.72 | 無し |
Standard SSD | 最大 500(最大 60 MB/秒) | ¥2,150.40 | 有り(10,000 トランザクション ユニットあたり ¥0.224) |
Standard HDD | 最大 500(最大 60 MB/秒) | ¥1,268.74 | 有り(トランザクション 10,000 回あたり ¥0.056) |
※Ultra Diskは料金計算ツールを利用しています。マネージドディスクサイズ256GB、IOPS値:2200、スループット値:250MB/秒で算出しています。
※Standard SSDおよびStandard HDDは、マネージドディスク容量の料金に加えてトランザクション数に応じた課金も発生します。
パフォーマンスレベルに応じて価格が上がる
Premium SSDの場合、パフォーマンスレベルを指定できます。
Azure マネージド マネージドディスクのパフォーマンスを向上させるためのオプションの概要
パフォーマンスレベルを上げるほど、IOPSやスループットの上限が高くなり、それに伴い価格も上昇します。
パフォーマンスレベル | マネージドディスクサイズ | IOPS(スループット値) | 価格(東日本リージョン)(月額) |
P10 | 128GB | 500(100MB/Sec) | ¥2,539.04 |
P15 | 256GB | 1100(125MB/Sec) | ¥4,896.72 |
P20 | 512GB | 2300(150MB/Sec) | ¥9,430.40 |
P30 | 1024GB | 5000(200MB/Sec) | ¥17,409.28 |
マネージドディスクのサイズ変更とパフォーマンスレベル変更の違い
Azure 仮想マシンのマネージドディスクには、一度サイズを大きくすると小さくできないという制限があります。
パフォーマンスレベルは、アップグレードだけでなくダウングレードも可能です。
一時的な高負荷処理の場合には、パフォーマンスレベルを一時的にアップグレードして対応し、高負荷状態が終わった後にダウングレードすることで、コストを抑えることが可能です。
注意点として、パフォーマンスレベルの変更は12時間に1回のみ行えるという制限があります。
項目 | アップグレード | ダウングレード |
サイズ | 可能(マネージドディスクサイズ拡張) | 不可(小さくするこはできない) |
パフォーマンスレベル | 可能(変更によるアップグレード) | 可能(変更によるダウングレード) |
※パフォーマンスレベルをアップグレードした場合、アップグレードしたパフォーマンスレベルの課金が発生します。
※Premium SSDの場合、バースト機能で一時的な高負荷に対応できる場合もあります。ただし、バーストが可能な時間は最大30分以内となります。
接続されている仮想マシンサイズによる制限
接続されている仮想マシンのサイズによって、マネージドディスクの本数やマネージドディスクあたりのパフォーマンスにも上限があります。
項目 | 制約事項 | 例 |
最大IOPS | 仮想マシンサイズに応じたIOPS上限 |
|
データディスク本数 | 仮想マシンに接続可能なデータディスク本数上限 |
|
仮想マシンとマネージドディスクパフォーマンスの例です。
仮想マシンサイズ | 仮想マシン(IOPS) | P30マネージドディスク(IOPS) | 期待されるIOPS値 |
Standard_D2as_v4(P30) | 3200 | 5000 | 3200 |
Standard_D4as_v4(P30) | 6400 | 5000 | 5000 |
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マネージドディスクのパフォーマンスレベル変更手順からDiskSpdを用いたIOPS測定
仮想マシンのマネージドディスクサイズ変更手順については、こちらで紹介しています。
マネージドディスクのパフォーマンスレベルをアップグレード
マネージドディスクのパフォーマンスレベルをアップグレードします。
パフォーマンスレベルのアップグレード | |
仮想マシンのメニューからディスクを選択します。 |
|
ディスクのメニューからサイズおよびパフォーマンスを選択します。 |
|
アップグレード可能なディスクのパフォーマンスレベルの一覧が表示されます。 |
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ディスクのサイズは変わらず、パフォーマンスレベルのみが変更されていることを確認できます。 サイズは127GBのままで、パフォーマンスレベルが5,000 IOPSに拡大していることを確認できます。 |
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DiskSpdを使ってIOPSを測定(パフォーマンスレベルアップグレード時)
マネージドディスクのパフォーマンスレベルをアップグレードした状態で、DiskSpdを使用してパフォーマンスレベル変更後のIOPSを測定します。
DiskSpdの利用手順は、こちらで紹介しています。
今回の仮想マシンのスペックは以下のとおりです。
P30は最大5,000 IOPSに対応しているため、パフォーマンスを満たす仮想マシンサイズを選択します。
仮想マシンサイズ | メモリ、CPU | IOPS |
Standard_D4as_v4 | 2 vcpu 数、8 GiB メモリ | 6400 |
今回はP10からP30へパフォーマンスレベルをアップグレードしています。
マネージドディスク層 | IOPS |
P10 | 500 |
P30 | 5000 |
パフォーマンスレベルをアップグレードした状態で、IOPSを測定します。
DiskSpdを使ってIOPSを測定 | |
IOPS値を確認すると、IOPSが5,953となっており、P10(IOPS: 500、バースト時3,500)を上回る値が計測されています。
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※P30の性能値を上回る値が計測されています。
マネージドディスクのパフォーマンスレベルをダウングレード
マネージドディスクのパフォーマンスレベルをダウングレードします。
パフォーマンスレベルのダウングレード | |
仮想マシンのメニューからディスクを選択します。 |
|
ディスクのメニューからサイズおよびパフォーマンスを選択します。 |
|
選択可能なディスクのパフォーマンスレベルの一覧が表示されます。 |
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ディスクのサイズは変わらず、パフォーマンスレベルのみが変更されていることを確認できます。 サイズは127GBのままで、パフォーマンスレベルが500IOPSに戻っていることを確認できます。 |
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DiskSpdを使ってIOPSを測定(パフォーマンスレベルダウングレード時)
マネージドディスクのパフォーマンスレベルをダウングレードした(規定値に戻した)状態で、DiskSpdを使用してパフォーマンスレベル変更後のIOPSを測定します。
DiskSpdを使ってIOPSを測定 | |
IOPS値を確認すると、IOPSが3,886.72となっています。
|
パフォーマンスレベルをダウングレードする場合の注意点
マネージドディスクのパフォーマンスレベルをダウングレードする場合は、アップグレード後12時間が経過しないと実施できないという制限があります。
制限時間内にダウングレードを試みると、以下のようなエラーメッセージが表示されます。
この場合は、規定の時間が経過するまで待つ必要があります。
【エラーメッセージ】
マネージドディスク 'test-win-01_OsDisk_1_XXXXXXXX’ を更新できませんでした。エラー: 9/4/2021 8:10:56 AM +00:00 の BLOB に対して上位の階層が明示的に設定されました。階層は 12 時間後にのみダウングレードできます。
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最後に
今回は、マネージドディスク(Azure Managed Disks)の種類、性能に関する情報、SLA、価格について簡単にまとめました。
Premium SSDマネージドディスクでは、パフォーマンスレベルをアップグレードすることで、性能を向上させられることが分かりました。
引き続き、いろいろ試してみたいと思います。