Azure Backupを使ってVMのバックアップからリストアまでやってみた
Azure Backup(Azure Recovery Services コンテナー)を使ってAzure Virtual Machine(VM)のシステムバックアップからリストアまでやってみました。 Recovery Services コンテナーの作成、設定、Azure VMへのバックアップ設定、バックアップ実行、リストア実行までの一連の流れをやっています。今回はリストアを新規作成と既存を置換の2パターンでやってみてます。
Azure Backupの詳細は公式サイトに記載の通りにはなるのですが、主にAzure VM(SQL Server含む)のシステムバックアップやAzure Filesのバックアップで利用されるAzure 上のサービスになります。
Azure Backupを利用したVMリストアの種類は4パターン
Azure VMのリストアについては4パターンあります。今回はAzure VMのリストアを直接実施する2パターンをやってみました。
Azure VMのリストアパターン | |
【MS社公式サイト記載の図】 |
|
VMのリストア(新規作成) |
バックアップから新規Azure VMを作成するリストア方式になります。リストア後は新規VMとリストア対象のVM(既存VM)の2つのVMがあります。新規作成されたVMのディスクNIC、IPは新規に払い出しされます。既存のVMには何の変更はされません。 |
VMのリストア(既存を置換) |
バックアップから既存Azure VM(リストア対象のVM)のディスクを置換するリストア方式になります。リストア後はリストア対象のVMのみがあります。VMのディスクがリストア後のディスクと置き換わる形式になります。 |
ディスクのリストア |
バックアップからディスクを作成するリストア方式になります。リストア後のディスクからVMの作成等が可能です。 ※VMのリストア(新規作成)では可用性セットを選択する事が出来ない為、一旦ディスクにリストアした後にVM作成が必要になります。 |
ファイルのリストア |
バックアップからディスクを作成とAzure VMマウント用のスクリプトが生成されます。このマウント先のディスクからファイルコピーを行い復旧します。 ※なお、作成されたディスクの有効期限は12時間です。(Azure上で管理されている為、Azure Portal上でディスク自体が直接見える事はありません。 |
リストア後のVM状態はこのようなな形になります。
リストアパターン |
リストア後のVM数 |
リストア後のイメージ |
説明 |
VMのリストア(新規作成) | 2台 |
|
新規VM構築と同様に新しいIPのVMが生成されます。 |
VMのリストア(既存を置換) | 1台 |
※既存VMに関連付けされていたディスクもそのまま残っています。(VMとの関連付けは無し) |
IP等は変わらずディスクだけが置き換わります。 |
|
※マイクロソフト公式サイトを確認して、個人的に理解した内容を記載しています。詳細は公式サイトを確認下さい。
ファイルリストアはこちら。 |
ディスクリストアはこちら。 |
Azure Recovery Servicesコンテナー作成
Azure Recovery Servicesコンテナーの作成
Azure VMバックアップ設定を行うためのRecovery Servicesコンテナーを作成します。
設定手順 | |
Recovery Services コンテナーで新規を選択します。 |
![]() |
リソースグループや、コンテナー名、リージョンを選択します。確認および作成をクリックします。 ※タグを設定する場合は、次タグを選択し、タグの設定を行ってください。 |
![]() |
確認画面が表示されますので、問題が無ければ作成をクリックします。 これでRecovery Services コンテナーの作成は完了です。 |
![]() |
Azure Recovery Servicesコンテナーバックアップ冗長設定
Recovery Servicesコンテナーの初期設定ではGeo冗長になっています。今回は検証なのでローカル冗長にしています。これはバックアップ設定前に実施する必要があります。Azure VMのバックアップ設定後には変更できません。
Geo冗長とローカル冗長ではコストが違います。リージョンをまたがる復旧利用時はGeo冗長を選択してください。
※実際の利用時は必要要件に合わせて設定下さい。
設定手順 | |
Recovery Services コンテナーの設定にあるプロパティを選択します。バックアップ構成の更新を選択します。 |
![]() |
ストレージレプリケーションの種類でローカル冗長を選択し保存します。 | ![]() |
Azure Recovery Servicesコンテナー論理削除設定
Recovery Servicesコンテナーの初期設定では、論理削除有効になっています。今回は検証なのでローカル冗長、論理削除無効にしています。論理削除有効だとAzure VMのバックアップ削除してもRecovery Services コンテナー自体は14日間消せません。
※実際の利用時は必要要件に合わせて設定下さい。
設定手順 | |
Recovery Services コンテナーの設定にあるプロパティを選択します。セキュリティ設定で更新を選択します。 | ![]() |
論理削除で無効を選択し保存します。 | ![]() |
|
Azure Virtual Machine(VM)のバックアップ設定
Azure VMのバックアップ構成
Azure VMバックアップ設定では、バックアップスケジュールや保持期間、バックアップ対象の選択を行います。なお今回はRecovery Servicesコンテナーから設定を行っています。Azure VMからの設定はこちら。
初回バックアップの実行
バックアップ有効化時にはバックアップは実行されません。初回バックアップはスケジュール実行時になります。初回バックアップを手動実行します。
Azure Virtual Machine(VM)をリストア
リストア対象のVMを選択
リストア対象のAzure VMを選択します。
実施手順 | |
Recovery Services コンテナーのバックアップアイテムを選択します。バックアップの管理の種類が表示されますので、Azure Virtual Machineを選択します。 | ![]() |
バックアップされているVM一覧が表示されます。リストア対象のVMを選択します。 |
![]() |
リストア対象のVMのバックアップ項目画面が表示されます。 VMの復元を選択します。 |
![]() |
Azure VMを新規VMとしてリストア
Azure VMを新規VMとしてリストアします。
リストアと言うよりかはバックアップを利用して新規VMを作成すると考えた方がシンプルに理解しやすい気がします。
今回はupdate-test-01と言うVMをrestore-test-01という名前にリストアします。
リストア後の確認(新規VMを選択してリストア)
リストア後の確認を行います。
基本的にはバックアップイメージを作成して、新規VMを作成となります。OSのホスト名変更、拡張機能、IPの設定、Azure Monitor関連の設定等も新規VM作成時と同様に考慮する必要があります。また、バックアップ設定も新規に必要になります。
既存を置換する形でAzure VMのリストア
Azure VMを既存を置換したVMとしてリストアします。
一般的に言われるリストアのイメージになります。
実施手順 | |
リストア後の確認用に、ファイルをデスクトップに作成します。(これは確認用なので通常時は必要ありません、) |
![]() |
新規VMでリストア時と同様の手順で仮想マシンの復元画面を表示します。 構成の復元で既存を置換を選択します。既存の置換になりますので、設定はステージングの場所の選択のみになります 復元をクリックします。 |
![]() |
なお、リストア対象のVMを起動したままだとUserErrorVmNotShutDownエラーになります。リストア対象のVMを停止してから復元を行います。 |
![]() |
リストアが開始されます。 リストアの状況はRecovery Services コンテナーのバックアップジョブで確認出来ます。 なお、既存と置換の場合は、バックアップも同時に実行されます。 |
![]() |
リストア後の確認(既存を置換でAzure VMをリストア)
リストア後の確認を行います。
確認手順 | |
リストア後の仮想マシンにログインしてみます。 先ほど作成したファイルが消えており、置き換わっている事が分かります。 |
![]() |
ディスクを確認すると、新規にディスクが作成され仮想マシンの所有者が新しく作成されたディスクになっている事が分かります。 ※利用されていたディスクも残っています。 |
![]() |
また、置換後に新規にバックアップが取得されている事も確認が出来ます。 |
![]() |
同じホスト名に戻すような通常のリストアは既存と置換を選択して実行した方が良いのでは?と個人的には思っています。
新規作成でも同じホスト名でVMをリストアする
バックアップ対象のVMを削除しても、Recovery Servicesコンテナーのバックアップデータは削除されません。バックアップ対象のVMを削除してから、リストアを実施すると同じホスト名でリストアが出来ます。
確認手順 | |
VM削除後に復元すると同じホスト名でもエラーになりません。 ※同じホスト名の場合はバックアップ設定等もそのまま引き継がれるようです。 |
![]() |
バックアップジョブの監視はこちら。
Azureバックアップセンターについてはこちら。