Azure VMをデフォルトのまま作ると危険なのでNSGを設定しましょう
Azure VM(仮想マシン)へのアクセスはネットワークセキュリティグループ(NSG)で行われます。
Azure Portalを使って仮想マシンを、デフォルト選択のまま作成するとNSGやパブリックIPも同時に作成されます。
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- パブリックIPが作成される
- 仮想マシン(ネットワークインターフェース)のNSGが作成される
- 作成されるNSGはインターネットにAnyでRDPやSSHが許可(受信)された状態
仮想マシン作成直後に外部(インターネット)からのRDPやSSHアクセスがすべてのIPから許可された状態になります。
非常に危険な仮想マシンにどこからでもアクセスされてしまう状態となってしまいます。
今回はAzure VM(仮想マシン)作成時のネットワークセキュリティグループ作成状況や設定変更について纏めてみました。
※2022年7月に記事を修正、再編集しています。
仮想マシンに適用されるネットワークセキュリティグループ(NSG)について
ネットワークセキュリティグループ(NSG)とは
仮想マシンに対するアクセス制御はNSGで行う事が出来ます。
NSGはAzureで接続許可や拒否設定を行うファイアウォール的なサービスになります。
NSGの説明についてはこちらを参照願います。
仮想マシンに適用されるネットワークセキュリティグループ(NSG)は2つ
仮想マシンに適用されるNSGは2つになります。
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- 仮想マシンが所属するサブネットに適用されたNSG
- 仮想マシンのネットワークインターフェースに適用されたNSG
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仮想マシンへのアクセスを許可する為にはそれぞれのNSGで受信セキュリティ規則や送信セキュリティ規則で通信許可が必要になります。
サブネット | ネットワークインターフェース | 仮想マシンへのアクセス |
アクセス許可 | アクセス許可 | アクセス可能 |
アクセス不可 | アクセス不可 | |
アクセス不可 | アクセス許可 | アクセス不可 |
アクセス不可 | アクセス不可 |
仮想マシン作成時にNICネットワークセキュリティグループなしにするとネットワークインターフェースにNSGが適用されない状態で作成されます。この場合はサブネットに適用されたNSGのみが適用されます。
サブネットに適用されたNSG | ネットワークインターフェースに適用されたNGS | 仮想マシンへのアクセス |
アクセス許可する | 無し | アクセス可能 |
アクセス許可しない | アクセス不可 |
※サブネットにもネットワークインターフェースにもNSGがない場合は、仮想マシンに対するNSGが存在しない状態となります。
デフォルト設定のままAzure VM(仮想マシン)を作成して確認
デフォルト設定のまま仮想マシンを作成して設定状況を確認してみます。
デフォルト設定のままAzure VM(仮想マシン)を作成した場合に生成されるもの
デフォルト設定のまま進めるとネットワーク関連リソースがいくつか作成されます。
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- 仮想ネットワーク(仮想マシンをデプロイするリソースグループ内に存在しない場合)
- サブネット(仮想マシンをデプロイするリソースグループ内に存在しない場合)
- パブリックIP
- ネットワークセキュリティグループ(NSG)
パブリックIPがアタッチされた状態で仮想マシン(Azure VM)が生成される
デフォルト設定ではパブリックIPを新規作成するが選択されています。
パブリックIPはインターネットから仮想マシンへアクセスする為のグローバルIPアドレスになります。
Azureではインターネット等からアクセスを行える事ように仮想マシンへが作成される為、パブリックIP、NSGが同時に生成される設定となっています。
仮想マシン作成時のネットワークセキュリティグループ(NSG)設定箇所
仮想マシン作成時のNSG設定箇所は2か所あります。
基本のタブとネットワークのタブに設定箇所があります。
Windowsの場合選択したポートを許可するRDP(3389)がデフォルト選択値になります。
Linuxの場合はSSH(22)が選択されています。
Azure VM(仮想マシン)と同時に作成されたネットワークセキュリティグループ(NSG) を確認
デフォルトの選択値のまま仮想マシンを作成した場合のNSGについて確認してみます。
受信セキュリティ規則、送信セキュリティ規則 | |
受信セキュリティ規則にRDPと言うルールが作成されています。RDP(3389)で任意の箇所からアクセスを許可する規則が作成されている事が分かります。 | ![]() |
このようにデフォルト値のまま仮想マシンを作成すると、RDPでどこからでもアクセスできる状態になり非常に危険な状態になる事がわかりました。
Azure VM(仮想マシン)作成時にネットワークセキュリティグループ(NSG)設定を変更
仮想マシン作成時にNSGの設定変更する方法について確認してみます。
受信ポートの規則で設定変更
仮想マシン(VM)作成時のNSG設定変更方法確認してみました。
Azure Portalで仮想マシンを作成する場合の基本画面で受信ポートの規則という項目があります。
この項目はインターネット等の外部からアクセスするポートの設定を行います。
ネットワークタブのパブリック受信ポートのデフォルト設定を決めるものになります。
最終的に作成されるNSGの設定はネットワークタブのパブリック受信ポートの設定が反映されます。
受信ポートの規則 | |
受信ポートの規則でなしを選択します。 |
![]() |
ネットワークタブのパブリック受信ポートはなしが選択されています。 | ![]() |
新規にNSGが作成されます。 パブリック受信ポートがなしなのでデフォルト規則のみとなります。 |
![]() |
この場合インターネットから仮想マシンへのアクセスは許可されません。
※ネットワークタブでパブリック受信ポートをなしに選択した場合は同様にデフォルト規則のみのNSGが作成されます。
NICネットワークセキュリティグループで設定変更
ネットワークタブのNICネットワークセキュリティグループで詳細を選択するとNSGの設定が出来ます。
- 既存のNSGの選択
- 新規NSG作成時の設定
新規NSG作成で設定変更方法を確認してみます。
受信セキュリティ規則、送信セキュリティ規則 | |
NICネットワークセキュリティグループで詳細を選択します。ネットワークセキュリティグループの構成が表示されます。新規作成を選択します。 |
![]() |
ネットワークセキュリティグループの作成画面が表示されます。default-allow-rdpと言う受信規則が優先度1000で作成されていますので選択します。 | ![]() |
ソースをIP Addressesに変更します。 優先度を1000以外に変更します。(1000にすると既存と同じルールと言うエラーメッセージが表示されます。)
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![]() |
受信規則が変更されている事が確認出来ます。 OKを選択します。 |
![]() |
仮想マシン作成後にNSGを確認すると、受信セキュリティ規則に変更内容が反映されている事が分かります。 | ![]() |
特定のIPからのみアクセス許可するNSGが作成される事が確認出来ました。
NICネットワークセキュリティグループでなしを選択した場合
NICネットワークセキュリティグループでなしを選択するとNSGが作成されません。
ネットワークインターフェースにNSGにアタッチされない状態で仮想マシンが作成されます。
サブネットにもNSGが無い場合は、仮想マシンにNSGが存在しない状態となります。
NICネットワークセキュリティグループでなしを選択 | |
なしを選択します。 メッセージに表示されている通り、パブリックIPを削除しない限りどこからでもアクセス可能となります。 |
![]() |
仮想マシン(およびサブネット)にNSG存在しない場合、インターネットからアクセスできる状態となります。
ARMテンプレートを使ったNSG作成方法はこちら。
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まとめ
NICネットワークセキュリティグループ設定と作成されるネットワークセキュリティグループ(NSG)の関係
仮想マシン作成時のNICネットワークセキュリティグループ設定値とNSG作成状況整理してみます。
サブネットにNSGが無い場合、パブリック受信ポート無しかNSGのルールを変更しない限りインターネット(すべて)からのアクセスが許可された状態となってしまいます。
NIC ネットワーク セキュリティ グループ | NSG作成状況 | |
なし | NSGは作成されない。 | |
Basic | パブリック受信ポート:なし |
NSGは作成される。 |
パブリック受信ポート:あり |
NSGは作成される。 |
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詳細 | 変更しない |
NSGは作成される。 |
新規作成でNSG設定を変更 |
NSGは作成される。 |
仮想マシン作成時にデフォルトのまま進まない方が良さそうなもの
NSG以外にも仮想マシン作成をそのまま進めた場合にこのような設定になります。
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- ディスクがPremium SSDで作成される
- 一番お高いディスクが選択される
- 仮パブリックIPが作成される
- インターネットから直接アクセスする必要がない場合でも作成されてしまう。
- 自動シャットダウンが有効になっている
- UTCで19時なので日本時間午前4時にシャットダウン
- ディスクがPremium SSDで作成される
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検証でお試しする場合などではPremium SSD必要ないので、Standard SSDやStandard HDDを選択するようにした方が良いかと思います。(仮想マシンのSLAはManaged Diskに依存します。要件に応じて選択願います。)
パブリックIPも各仮想マシンで保持する必要があるかはちゃんと検討した方が良いかと思います。
自動シャットダウン自体は良いのですが、UTCになっているので注意が必要です。
シャットダウンする時間を再設定するか無効にした方が良いかと思われます。
ネットワークセキュリティグループ(NSG)でインターネットアクセスを許可しておくと漏れなく攻撃が来ます
自身の経験ですが、NSGでRDPを許可しておくと仮想マシンに対して5分後位から秒で辞書攻撃的なアクセスが来ました。
AzureのグローバルIPは公開されており、常にアクセスしてくる攻撃者が居ます。
検証環境やすぐ消すからとか言ってそのままにしている事をみかける事がありますが、攻撃を受けてから後悔しても時すでに遅しです。
許可すべき要件が無い限りアクセス元のIPアドレスは制限するようにした方が良いかと思います。
Azure LBを使ってアクセスするRDPのポート番号変更してみたはこちらになります。
Linuxではパスフレーズ付き鍵認証が推奨されます。
併せて見て頂けると大変有難いです。