初めてのJMeter(Windowsへのインストール、日本語化、試験方法)
JMeterを利用して負荷(性能)試験を行うための手順です。
Windowsサーバーでのセットアップ、HTTPリクエストによる負荷(性能)試験の作成から結果確認までの手順を確認しています。
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- インストール (Java, JMeter)
- JMeterの設定 (GUIデザイン変更、日本語化)
- Webアクセスの負荷(性能)試験作成
- 負荷(性能)試験実施
- 結果確認
※シナリオ作成やCLIでの負荷(性能)試験実施手順については本記事の対象外です。
※HTTPリクエストは、もっともシンプルな単一のURLへのアクセスを想定しています。
JMeterのインストール手順
JMeterを開始するまでの手順です。
Windows環境の手順です。
JMeterとは
さまざまなアプリケーションの負荷テストおよび性能計測が行えるオープンソースソフトウェアです。
アクセスからログイン処理までのユーザー挙動を再現したWebシナリオ試験も可能です。
JVM準拠の環境で動作するため、WindowsやLinuxのどちらの環境でも利用できます。
リモートホストを利用して、複数台のJMeter端末から同時に負荷を発生させることも可能です。
もともとはWebアクセスの負荷(性能)試験ツールでしたが、最近ではさまざまな拡張が行われており、メール(SMTP(S)、POP3(S)、IMAP(S))などにも対応しています。
JMeterを利用開始するまでの流れ
JMeterを実行するためには、Javaをインストールする必要があります。
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- 利用開始までの流れ
- Javaのインストール
- JMeterファイルの展開
- JMeterで試験作成
- 利用開始までの流れ
Javaのインストール手順
公式サイトからJavaをダウンロードし、Windowsへインストールします。
JMeterのインストール手順
公式サイトからJMeterのファイルをダウンロードし、解凍します。
JMeter Plugins Managerのインストール手順
JMeterにはさまざまなプラグインが用意されています。
今回はプラグイン自体は利用しませんが、プラグインの管理ツールであるJMeter Plugins Managerのみインストールします。
JMeter Plugins Managerのインストール手順 | |
jmeter-plugins.orgへアクセスします。 ファイルをダウンロードします。 |
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JMeterを配置したディレクトリのlib/ext配下に、ダウンロードしたファイルを配置します。 | ![]() |
JMeterの起動手順
JMeterを起動します。
GUIやCLIなど、さまざまな実行方法があります。
JMeterの起動方法 | |
binディレクトリ内にjmeter.batというバッチファイルがあります。 これがJMeterの実行ファイルです。 ダブルクリックして起動します。 |
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JMeterがGUIモードで起動します。 | ![]() |
JMeterのGUI日本語化手順
JMeterの言語設定は、メニューの"Options"内にある"Choose Language"にあります。
“Japanese"を選択すると、GUIが日本語表示に切り替わります。
恒久的に日本語表示にしたい場合は、起動ファイル(jmeter.bat)を編集します。
画面の表示デザインを変更する手順
画面の表示デザインを変更することができます。
“ルック&フィール(Look and Feel)"の項目で設定します。
画面表示デザイン変更手順 | |
“ルック&フィール(Look and Feel)"でデザインを選択します。 選択したデザインに合わせてGUIの表示が変更されます。 ※画面例は"Metal"を指定した場合です。 |
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JMeterで負荷(性能)試験を作成する手順
単一のURLに対する負荷(性能)試験を作成します。
今回はテスト計画(Test Plan)、スレッドグループ(Thread Group)、サンプラー(Samplers)、リスナー(Listeners)を作成します。
試験実施に必要な設定と概要
最低限必要な設定は、テスト計画(Test Plan)、スレッドグループ(Thread Group)、サンプラー(Samplers)となります。
結果を記録する場合には、リスナー(Listeners)を作成します。
テスト計画(Test Plan)は、JMeterの負荷(性能)テストの構成(実行する一連のステップ)を含み、構成要素の最上位に位置します。
テスト計画(Test Plan)の配下に、スレッドグループやサンプラーなどの要素(elements)を定義します。
スレッドグループ(Thread Group)は、試験時の負荷を定義する要素(elements)です。
同時に実行するユーザー数(スレッド数)やループ数などを定義します。
サンプラー(Samplers)は、テスト対象となるリクエストや処理を定義する要素(elements)です。
HTTPリクエストの場合は、対象のURLなどを設定します。
リスナー(Listeners)は、テスト結果の記録や可視化を行う要素(elements)です。
負荷(性能)試験実施時の応答速度やレスポンスデータなどを記録し、表示します。
今回作成したJMeterの試験設定
JMeterの設定値の例です。
10ユーザーが5回ずつアクセスする(合計50アクセス)設定になっています。
※アクセス先のWebサイトには、サンプルのApp Service(https://fd-test-01.azurewebsites.net)を利用しています。
要素 | 項目 | 設定値 |
テスト計画 (Test Plan) |
名前 | sample_test_01 |
スレッドグループ (Thread Group) |
名前 | sample_thread_01 |
スレッド数 | 10 | |
Ramp-Up期間 | 1 | |
ループ回数 | 5 | |
サンプラー (Samplers) |
名前 | sample_http_request_01 |
プロトコル | https | |
サーバ名 | fd-test-01.azurewebsites.net | |
HTTPリクエスト | GET | |
パス | / | |
リスナー (Listeners) |
結果をツリーで表示 統計レポート |
負荷(性能)試験の作成手順
JMeterで負荷(性能)試験を作成します。
※今回は、HTTPリクエスト初期値設定(Default HTTP Request Properties)やHTTPクッキーマネジャー(HTTP Cookie Manager)は未設定のまま進めています。
負荷(性能j)試験の作成手順 |
JMeterを起動すると、テスト計画が表示されます。 テスト計画(Test Plan)の名前を設定します。 ![]() |
スレッドグループ(Thread Group)を作成します。 テスト計画(Test Plan)を右クリックし、"追加(Add)→"Threads(Users)"→"スレッドグループ(Thread Group)"を選択します。 |
スレッド名およびスレッドプロパティを設定します。 |
サンプラー(HTTPリクエスト)を作成します。 スレッドグループ(Thread Group)を右クリックし、"追加(Add)"→"サンプラー(Samplers)"→"HTTPリクエスト(HTTP Request)"を選択します。 |
HTTPリクエスト(HTTP Request)を設定します。 Webサーバーのプロトコルおよびサーバ名を設定します。 |
※Ramp-Up(秒数)は、最大スレッド数(今回の場合は10)に到達するまでの時間(秒数)を指定します。今回は1秒に設定していますが、一般的にはスレッド数 = Ramp-Upとすることが推奨されています。試験時には、負荷状況を確認しながらRamp-Upなどの値を適宜調整します。
リスナーの作成手順
試験結果を記録・表示するためのリスナー(Listeners)を設定します。
リスナー(Listeners)には複数の種類があります。
今回は、結果をツリーで表示(View Results Tree)と統計レポート(Aggregate Report)を設定します。
結果をツリーで表示(View Results Tree)を利用すると、リクエスト単位でレスポンスの詳細を確認できます。
レスポンスコードや応答データ(Response Body 等)をリクエストごとに確認できます。
統計レポート(Aggregate Report)を利用すると、リクエストごとの結果をテーブル形式で確認できます。
リクエストごとのリクエスト数、エラー率、スループットなどを確認できます。
※公式サイトの記述にもある通り、結果をツリーで表示(View Results Tree)は大量にリソースを消費するため、負荷(性能)試験時の利用は推奨されていません。主に試験作成時の動作確認用として使用します。
リスナーの作成手順 |
リスナー(Listeners)を作成します。 |
“追加(Add)"→"リスナー(Listeners)"にある"統計レポート(Aggregate Report)"を選択します。![]() |
テスト計画(Test Plan)にリスナー(Listeners)が追加されていることを確認できます。 |
テスト計画を保存
設定が完了したら、テスト計画を保存します。
XML形式で保存することができます。
テスト計画を保存 | |
ファイルのメニューから"テスト計画に名前をつけて保存"を選択します。任意の名前を付けて保存します。 | ![]() |
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JMeterを使った負荷(性能)試験の実行から結果確認までの手順
負荷(性能)試験を実行
負荷(性能)試験を実行します。
※公式サイトの記載にもある通り、CLIモードでの実行が推奨されていますが、今回は動作確認のためGUIモードで実行します。
試験を実行 | |
実行(Start)ボタンをクリックすると、試験が開始されます。 | ![]() |
試験を停止する場合は、停止(Stop)ボタンをクリックします。 | ![]() |
リスナー(Listeners)で設定したレポートを確認します。 |
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統計レポート(Aggregate Report)を表示します。 |
JMeterを利用して一定時間継続して負荷を発生させる
一定時間継続して負荷をかけることもできます。
5分間(300秒)継続して負荷をかけるように設定を変更します。
継続して負荷を発生させる | |
無限ループにチェックを入れます。 持続時間(秒)を300に設定します。 |
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試験を実行すると、5分間(300秒)継続して負荷を発生させることができます。 | ![]() |
App Serviceのメトリック(Requests)を確認すると、継続したアクセスがあったことを確認できます。 | ![]() |
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最後に
JMeterのインストールから負荷(性能)試験を実施するまでの手順を確認しました。
今回は最も基本的な例で動作を確認しましたが、JMeterではログイン処理など、ユーザーの利用に合わせたさまざまな動作を再現することができます。
引き続き、いろいろ試してみたいと思います。