Rocky Linux 9のSELinux無効化手順
Rocky Linux 9からSELinuxの無効化方法が変更されています。
一時的な無効化と恒久的な無効化に分けて手順を確認します。
恒久的な設定については、SELinuxの無効化(Disabledモード)と通信許可(Permissiveモード)の場合の手順を紹介します。
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- 一時的な無効化
- setenforceコマンドでSELinuxを一時的に無効化
- 恒久的な無効化
- grubbyコマンドを使用してSELinuxをDisabledモードに設定
- /etc/selinux/configファイルを編集してPermissiveモードに設定
- 一時的な無効化
※手順の確認には、Azure上に作成したRocky Linux release 9.2 (Blue Onyx)の仮想マシンを使用しています。
※SELinuxの無効化やPermissiveモードへの変更は、セキュリティレベルを下げるため推奨されていません。実施する際は十分ご注意ください。
Rocky Linux 9でSELinuxを無効化
SELinuxの無効化方法が9から変更されている
Rocky Linux 9から、SELinux無効化(Disabledモード)の手順が変更されています。
grubbyコマンドを利用してカーネルパラメータを編集する方法に変更されました。
SELinuxの各モードの動作に変更はありません。
Permissiveモードや一時的なSELinux無効化手順についても変更はありません。
モード | 通信 | ログ | 備考 |
Enforcing (強制) |
SELinuxポリシーに違反するアクセスをブロック | 記録される SELinuxポリシーに沿わない通信 |
デフォルト設定 推奨される運用モード |
Permissive (許可) |
すべてのアクセスを許可 | 記録される SELinuxポリシーに違反する通信 |
動作確認などの検証時に利用 |
Disabled (無効) |
すべてのアクセスを許可 | 記録されない | 推奨されない運用モード |
setenforceで一時的にSELinuxを無効化(Permissiveモードへ変更)
一時的にSELinuxを無効化する方法は、Rocky Linux 8までと同じです。
setenforceコマンドを利用し、setenforce 0でPermissiveモードに変更できます。
動作切り分けなどの際に、SELinuxのポリシーを一時的に無効化してアクセス許可することができます。
※OSを再起動すると設定は元に戻ります。
# デフォルトの設定内容を確認 # 一時的にSELinuxを無効化 # SELinuxを無効化したのちに設定内容を確認 |
SELinuxの設定ファイルを確認
SELinuxの設定ファイルは/etc/selinux/configです。
設定ファイルの場所やファイル名はRocky Linux 8と同じです。
8と異なるのは、disabledモードへ変更する場合の手順です。
Rocky Linux 9では、disabledモードへの変更時にgrubbyコマンドを利用するよう、configファイル内に記載があります。
# SELinuxの設定ファイルを表示 |
【危険です】grubbyコマンドで恒久的にSELinuxを無効化(Disabledモード)
SELinuxをDisabledモードに変更して恒久的に無効化する手順です。
grubbyコマンドを利用して設定を行い、その後OSを再起動します。
DisabledモードによるSELinuxの無効化は推奨されていません。
また、SELinuxを再有効化する際は注意が必要です。
SELinux のステータスおよびモードの変更(Red Hat)
SELinux states and modes(Fedora Linux)
システムを再起動する際には、ファイルの再ラベル付けが行われるようにする必要があります。
Disabledモードから再有効化する場合は、EnforcingモードではなくPermissiveモードに戻すことが推奨されています。
Enforcingモードに戻すと、動作に問題が発生し、OSが起動しなくなる場合があります。
# grubbyコマンドでSELinuxを無効化(オプションの"-“は2つです) # OS再起動後にSELinuxの設定を確認 # grubbyコマンドでSELinuxの設定を再有効化(オプションの"-“は2つです) # 再起動時にファイルのラベル付与 # OS再起動後にSELinuxの設定を確認 |
設定ファイルでPermissiveモードに変更して恒久的にアクセス許可
SELinuxをPermissiveモードへ変更する手順です。
Permissiveモードにすると、SELinuxポリシー違反によるアクセスがブロックされなくなります。
Rocky Linux 8までの手順と同様に、/etc/selinux/configファイルを編集します。
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- 変更箇所(22行目)
- 変更前:SELINUX=enforcing
- 変更後:SELINUX=permissive
- 変更箇所(22行目)
検証やSELinuxのポリシー確認などでアクセス許可が必要な場合は、DisabledモードではなくPermissiveモードへの変更が推奨されています。
#configファイルを編集(sedコマンド利用) #OS再起動後にSELinuxの設定を確認 |
※再有効化する場合は、/etc/selinux/configのSELINUX=permissiveをSELINUX=enforcingに変更します。
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最後に
今回は、Rocky Linux 9におけるSELinuxの無効化や再有効化手順についてまとめました。
Disabledモードへの変更手順がRocky Linux 9から変更されていることや、再有効化の際には注意が必要である点が確認できました。
引き続き、いろいろ試してみたいと思います。
Rocky Linuxの仮想マシンをAzure環境で作成する手順や日本語化設定などについて紹介しています。
Rocky Linux8でのSELinux無効化手順も紹介しています。
Rocky Linuxを例に、仮想マシン作成後のrootユーザー設定手順について紹介しています。